認知症に関するキーワード集
あ行
新しい認知症観
「認知症になったら何もできなくなるのではなく、認知症になってからも、一人一人が個人としてできること・やりたいことがあり、住み慣れた地域で仲間等とつながりながら、希望を持って自分らしく暮らし続けることができる」という考え方。
国が策定した認知症施策推進基本計画では、認知症のある人を含めた国民一人一人が「新しい認知症観」に立ち、認知症のある人が自らの意思によって、多様な主体と共に、日常生活及び社会生活を営むことができる共生社会を創り上げていく必要があるとされている。
アミロイドPET検査
アルツハイマー型認知症の原因物質とされる、アミロイド β というたんぱく質の蓄積を調べるため、脳に蓄積されたアミロイド β を画像化し、診断を行う検査。
アミロイドβ(ベータ)
アミロイドβ(ベータ)と呼ばれるたんぱく質のこと。正常な脳でもつくられているが、つくられるスピードと分解されるスピードのバランスが崩れると、アミロイドβの量が過剰になり、神経細胞の外で徐々に大きなかたまりになっていく。アミロイドβのかたまりは神経細胞の働きを鈍らせ、やがて神経細胞が死に、神経細胞の数が減ってくると、認知機能障害が現れる。
か行
キャラバン・メイト
認知症サポーターを養成する「認知症サポーター養成講座」の企画、立案を担う講師役のこと。「東京都キャラバン・メイト養成研修」を受講し、キャラバン・メイトとして登録することで、東京都のキャラバン・メイトとなることができる。
空白の期間
認知症の気づきから診断、介護保険サービスにつながるまでの期間のこと。「空白の期間」では、本人やその家族は将来への不安などを抱えており、ピアサポーターによる相談支援などの情報提供や社会参加の場への参加支援などが必要である。
さ行
若年性認知症
65歳未満で発症した認知症のこと。
都内に約4千人と推計される。若年性認知症を発症すると、発症前に仕事に就いていても退職や転職を余儀なくされる場合も多い。また、発症後は介護保険や各種の公的サービス・支援が利用可能だが、これらが利用されていないケースがある。
若年性認知症支援コーディネーター
若年性認知症のある人の課題に対する支援を実施するために配置される、自立支援に関わる関係者のネットワークの調整役。相談窓口業務、区市町村や関係機関との連携体制の構築、地域や関係機関に対する若年性認知症にかかる正しい知識の普及などの業務を行う。
東京都では、都内2か所にある東京都若年性認知症総合支援センターにおいて、専門の若年性認知症支援コーディネーターが、本人やその家族から多岐にわたる相談に対し、ワンストップで対応している。
若年性認知症総合支援センター
東京都が設置した若年性認知症専門のワンストップ相談窓口。
専門の相談員が、本人やその家族、関係機関(地域包括支援センター等)からの相談に対応する。医療機関の受診や社会保障の手続きを始め、介護保険等サービスの利用、就労支援、本人やその家族の不安など、様々な相談への対応・支援を行う。
成年後見制度
認知症などにより、判断能力に不安がある方々の権利を守る援助者(成年後見人等)を選ぶことで、その方を法律的に支援する制度のこと。各区市町村では、身近な地域で、成年後見制度のほか権利擁護支援に関する相談等を受けられるよう、成年後見制度推進機関を設置している。
ソーシャルファーム
ー般的な企業と同様に自律的な経営を行いながら、就労に困難を抱える方が、必要なサポートを受け、他の従業員と共に働いている社会的企業のこと。
た行
地域包括支援センター
高齢者やその家族を支援するため、区市町村が設置している総合相談窓口のこと。医療機関の受診に関する相談、介護サービスの紹介や手続の支援、介護予防に関する支援、高齢者虐待に関する相談など専門職が様々な相談対応・支援を行う。また、関係機関や住民と連携して、地域の見守り活動も推進している。
チームオレンジ
認知症のある人ができる限り地域の良い環境で自分らしく暮らし続けることができるよう、認知症のある人やその家族等の支援ニーズと認知症サポーターを中心とした支援をつなぐ仕組みのこと。
中核症状
認知症による脳の障害に起因する症状。意欲・気力等の障害、認知機能の障害(記憶・見当識・判断力・実行機能・会話等の障害)、感情の障害(多様性・安定性・適切性の障害)、自己決定・人格の障害などがある。
とうきょうオレンジドクター
東京都が認定する、地域包括支援センター等と積極的に連携して活動できる認知症サポート医のこと。地域包括支援センターからの相談に対応したり、地域の医療・介護職向け研修で講師を務めるなどして、認知症のある人やその家族を支えている。
とうきょう認知症希望大使
都民への認知症の理解の促進及び認知症のある人からの発信を支援する取組を推進するため、東京都から任命された認知症当事者の方のこと。
な行
日常生活自立支援事業(地域福祉権利擁護事業)
認知症高齢者、知的障害者、精神障害者など判断能力が十分でない方々に対して、地域で自立した生活が送ることができるよう福祉サービスの利用援助や日常的金銭管理等を行うもの。東京都では東京都社会福祉協議会が実施している(利用相談等の窓口業務は各区市町村の社会福祉協議会で実施)。
日本版BPSDケアプログラム
東京都と公益財団法人東京都医学総合研究所とが、スウェーデンのケアプログラムをもとに協働で開発した認知症ケアプログラムのこと。
介護事業者等において認知症ケアの質の向上のための取組を推進する人材を養成するとともに、BPSD(行動・心理症状)の症状を「見える化」する
オンラインシステムを活用し、ケアに関わる担当者の情報共有や一貫したケアの提供をサポートするプログラムである。
なお、本ケアプログラムのアドミニストレーター養成研修修了者は、全国において、令和6年度介護報酬改定において新設された「認知症チームケア推進加算」
の算定要件である「認知症チームケア推進研修」修了者としてみなすことが認められている(令和6年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.14)(令和7年4月18 日))。
認知機能検査
認知機能が低下しているかどうかを調べる検査。「改定長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)」、「Mini-Mental state(MMSE)」、「DASC-21」などの検査手法がある。
認知症
認知症とは、色々な原因で認知機能(物事を記憶する、言葉を使う、計算する、問題を解決するために深く考えるなどの頭の働きを指す。)が低下し、生活のしづらさが現れる状態を指す。認知機能の低下により、不安・うつ・怒りっぽさ・幻覚・妄想・意欲の低下・不眠などの行動・心理症状(BPSD)が出る人もいる。
認知症の原因はさまざまだが、主なものはアルツハイマー型認知症、血管性認知症、レビー小体型認知症・パーキンソン病による認知症である。
認知症アウトリーチチーム
医師、看護師、精神保健福祉士等で構成され、認知症初期集中支援チームでは対応が難しい場合に、自宅への訪問などにより本人やその家族等に必要な情報を提供するほか、適切なサービス等につなげる取組を推進する。地域拠点型認知症疾患医療センターに設置されている。
認知症カフェ
認知症のある人やその家族、地域住民、専門職などが気軽に集まり、相談や情報交換ができる場のこと。
認知症基本法
「認知症の人を含めた国民一人一人がその個性と能力を十分に発揮し、相互に人格と個性を尊重しつつ支え合いながら共生する活力ある社会の実現を推進する」ため、認知症施策について基本理念等を定めている。正式名称は「共生社会の実現を推進するための認知症基本法」で、令和6年1月に施行された。
都道府県と区市町村は、国の基本計画を基本に、各自治体の実情に即した認知症施策推進計画を策定するよう努めなければならないとされている。
認知症ケアパス
認知症のある人やその家族が「いつ」「どこで」「どのような」医療や介護サービスが受けられるのか、認知症の様態に応じたサービス提供の流れを地域ごとにまとめたものであり、各区市町村で作成・配布している。
認知症検診
早期診断・早期支援を目的とした、区市町村が実施する医師等による問診・認知機能検査のこと。東京都では、原則として認知症の診断を受けていない50歳以上の方を対象に、検診を実施する区市町村を支援している。また、検診後、関係機関と情報共有し、対象者へ定期的に連絡・訪問等の支援を行うよう区市町村に求めている。
認知症高齢者グループホーム(認知症対応型共同生活介護)
認知症高齢者が、5~9人の少人数で、家庭的な雰囲気のもとで介護や身の回りの世話を受けながら共同生活を送る住まいのこと。
認知症サポーター
認知症についての正しい知識をもち、認知症のある人やその家族を温かく見守る応援者であり、共に生きる伴走者のこと。認知症サポーター養成講座(地域や職域団体等を対象に、認知症の正しい知識や、つきあい方についての講義を行う住民講座・ミニ学習会)を受講することで、誰でもなることができる。
認知症サポート医
認知症のある人と家族を支えるチームの一員として、医療の面から生活をサポートする医師のこと。各区市町村で実施されている認知症カフェや住民向け講演会などの取組に協力している。
認知症支援コーディネーター
区市町村に設置され、認知症の医療・介護・生活支援等の情報に精通し、個別ケース支援のバックアップ等を担う。
認知症疾患医療センター
認知症の専門医療相談、診断、身体合併症と行動・心理症状への対応、地域連携の推進、人材育成等を実施している医療機関。各センターには、認知症に関する専門知識を有する精神保健福祉士等が配置されており、本人・家族・関係機関からの認知症に関する医療相談に対応するとともに、状況に応じて適切な医療機関等の紹介を行う。
認知症初期集中支援チーム
区市町村が設置し、認知症サポート医等の医師、医療・介護の複数の専門職で構成される。家族の訴え等により認知症が疑われる人や認知症のある人及びその家族を訪問し、アセスメント、家族支援等の初期の支援を包括的・集中的(おおむね6か月)に行い、自立生活のサポートを行う取組を進めている。
認知症専門医
日本老年精神医学会若しくは日本認知症学会の定める専門医又は認知症疾患の鑑別診断等の専門医療を主たる業務とした5年以上の臨床経験を有する医師のこと。
認知症地域支援推進員
区市町村ごとに、地域包括支援センター、認知症疾患医療センター等に配置され、地域の支援機関間の連携づくりや、「認知症ケアパス」の作成・活用の促進、認知症カフェを活用した取組の実施、社会参加活動促進等を通じた地域支援体制づくり、認知症のある人やその家族への相談等への対応等を行う。
認知症の日
9月21日は共生社会の実現を推進するための認知症基本法の施行により、「認知症の日」とされている。また、国際アルツハイマー病協会が1994年のこの日、英国エジンバラで開催した第10回国際会議を機に、「記念日」として宣言した「世界アルツハイマーデー」でもある。
認知症本人ミーティング
認知症のある人が主役となり、思いや体験などを語り合う場。
当事者同士が思いや経験を共有することができ、本人のピア相談の場にもなる。
は行
バイオマーカー検査
アミロイドPET検査、または脳脊髄液検査のこと。
ピアサポート
英語で「仲間」を意味する「ピア」と「支援」を意味する「サポート」を合わせた言葉。一足先に認知症の診断を受け、その不安を乗り越え前向きに生活している認知症のある人やその家族による当事者としての支援活動のこと。
フレイル
加齢に伴い筋力・認知機能等の心身の活力が低下し、要介護状態となる危険性が高くなった状態を指し、健康な状態と介護が必要な状態の中間を意味する。要介護高齢者の多くが、フレイルという段階を経て徐々に要介護状態になるが、適切な介入・支援により生活機能の維持向上が可能であるとされる。そのため、健康寿命を延伸するには、フレイル予防に取り組むとともに、フレイルの兆候に早期に気付いて適切な対策をとることが重要である。また、介護予防・フレイル予防は、認知症予防にも資するとされる。
ヘルプカード
緊急連絡先や必要な支援内容などが記載されたカードで、障害のある人などが災害時や日常生活の中で困ったときに、周囲に自己の障害への理解や支援を求めるためのもの。
ら行
レカネマブ・ドナネマブ
抗アミロイドβ抗体(レカネマブ・ドナネマブ)は、アミロイドβのかたまりを取り除き、アルツハイマー病の進行を抑制することが期待される。対象になるのは、「アルツハイマー病による軽度認知(機能)障害:MCI」と「軽度アルツハイマー型認知症」と診断された方のうち、いくつかの条件を満たす方である。
アルファベット
ACP(アドバンス・ケア・プランニング)
将来病気になったり介護が必要になったりしたときに備え、これまでに大切にしてきたことや、これから誰とどのように過ごしたいか、希望する医療や介護のことなどについて、家族や大切な人、医療・介護関係者とともにあらかじめ考え、話し合うプロセスのこと。
BPSD(行動・心理症状)
BPSD(Behavioral and Psychological Symptoms of Dementia)の略称。認知症患者に頻繁に見られる知覚、思考内容、気分、行動の障害の兆候。不安、うつ、怒りっぽさ、幻覚、妄想・意欲の低下・不眠などの行動・心理症状などを意味する。認知症のある人は、脳細胞が損傷を受けたり働きが悪くなることで直接的に引き起こされる認知機能の障害のほかに、身体の状態や生活の環境などの様々な要因が影響して、精神症状や行動上の支障が起きる「行動・心理症状」(BPSD)を発症することがある。
MCI(軽度認知(機能)障害)
軽度認知(機能)障害(MCI:Mild Cognitive Impairment)の略称。認知機能障害があるが、生活上の困りごとが生じていない状態のこと。